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Atsushi Sasaki Interview 俳優 佐々木敦インタビュー 作品を創り出すときには、自分の中には何の意図もない…。 『身体』と『内側』がどうあるかってことを大切にしたいと思う。
「シンガポールの公演の時に『視線』というシーンがあった。それは整然と役割やセリフのあったそれまでのシーンから、まったくそういったものが無くなって、ただただ約30分間、観客を見つめ続けるシーンだった。僕は黒子(スタッフ)だったから出ている俳優をサポートしていたんだけど、その世界に入っていきたいと思った。
「僕は何かを創るっていうのは、特別な人で思い入れが強い人が創るものだと思っていた。音楽・映画でもなんでも、自分自身が生み出せるなんて思いもしなかった。想像したこともなかった。」 ?首をニューっと上に伸ばしたり(かなり長い)ふっと縮めたりしながらリズミカルに喋る。時折のんびりとタバコを吸う。 「アレ?どうやって創ったのかな?とよく思う。今でもどうやって創っているのかさっぱり分からない。いつも何かを始めるとき、振り出しに戻っている気がする。でも実感したのは、ここで終わらない、これがずっと続いていくんだなあってこと。そして実際に続いているし、終われないし終わらない。結構、大変。 続けていくことの大変さと大切さ。ずっと続いていくことに向かって行く覚悟とか、いまだにその辺が弱いなあ、変わらない。」
「全部に言えるんだけど何かの作品のために思いついたり、創ったりしたことはない。僕がパフォーマンスの中で体験することは、行為でも身体でも全部OM-2以前の僕の部屋であったことなんだ。 一人暮らしでのアパートでの状況。 作品を創り出すときには、自分の中には何の意図もない、散乱するゴミ、吐しゃ物、ダッチワイフ、消火器、真っ暗に目貼りしたことなど全部、自分の部屋の中の出来事。」
「でもそうなると、僕のパフォーマンスは一歩も部屋から出ていない。 ずーっと部屋の中にいるんだなあ。部屋の中から出ていない。この後どうするんだろ」 Q : 本当に部屋から出ていませんか? 「こうやってパフォーマンスしてみて分かったことは、これは次回の『リビング』にも強く言えることなんだけど、部屋はそれでも何かしら外とつながっているっていうこと。僕の身体が引き起こす部屋はやっぱり社会を反映しているんだと思う。アウトプットの場所として舞台を見つけることができるって、そのことに気づいたんだ。 やっぱり再演だからっていっても、創ったときの自分の身体も時間の感覚も少し変化しているんだから、そのことに注意して、そこで『身体』と『内側』がどうあるかってことを大切にしたいと思う。行為や事柄なんかじゃなくって…。 ちゃんと生きないといけない。でもそれが難しい。今日までやってきてそれだけは理解できた。」 |